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Mon, 10 Aug 2015 18:15:48 JST (3187d)

コックリさんについて解説 Edit

コックリさん(狐狗狸さん)とは、西洋の「テーブル・ターニング(Table-turning)」に起源を持つ占いの一種。机に乗せた人の手がひとりでに動く現象は心霊現象だと古くから信じられていたが、科学的な見方では意識に関係なく体が動くオートマティスムの一種と見られている。

日本では通常、狐の霊を呼び出す行為(降霊術)と信じられており、そのため狐狗狸さんといわれる。机の上に「はい、いいえ、鳥居、男、女、0~9までの数字、五十音表」を記入した紙を置き、その紙の上に硬貨(主に十円硬貨)を置いて参加者全員の人差し指を添えていく。全員が力を抜いて「コックリさん、コックリさん、おいでください。」と呼びかけると硬貨が動く。 森田正馬(森田療法で有名)は参加者が霊に憑依されたと自己暗示(自己催眠、 祈祷性精神病 と命名)に罹るとの見方を示した。また複数人に同様な症状がおきる感応精神病(フランス語: folie a deux(フォリアドゥ))の発生もよく知られる。コックリさんと呼ばず“エンジェルさん”などと呼びかえるバリエーションも存在する。これも同じ効果だと言われている。

その起源は明確ではないが、レオナルド・ダ・ヴィンチが自著において「テーブル・ターニング」と同種の現象に言及しているので、15世紀のヨーロッパでは既に行われていたとも推測される。

西洋で流行した「テーブル・ターニング」とは、数人がテーブルを囲み、手を乗せる。やがてテーブルがひとりでに傾いたり、移動したりする。出席者の中の霊能力がある人を霊媒として介し、あの世の霊の意志が表明されると考えられた。また、霊の働きでアルファベットなどを記したウィジャボードと呼ばれる板の文字を指差すことにより、霊との会話を行うという試みがなされた。

日本においては、1884年に伊豆半島沖に漂着したアメリカの船員が自国で大流行していた「テーブル・ターニング」を地元の住民に見せたことをきっかけに、日本でも流行するようになったという。当時の日本にはテーブルが普及していなかったので、代わりにお櫃(ひつ)を3本の竹で支える形のものを作って行なった。お櫃を用いた机が「こっくり、こっくりと傾く」様子から“こっくり”や“こっくりさん”と呼ぶようになり、やがて“こっくり”に「狐(きつね)」、「狗(いぬ)」、「狸(たぬき)」の文字を当て「狐狗狸」と書くようになったという。また、「コークリさん」「お狐さん」とも呼ばれ、一般には、低俗な動物霊と言われている。1970年代にはつのだじろうの漫画『うしろの百太郎』の作中でコックリさんが紹介され、少年少女を中心としたブームになったこともある。子供たちが学校などで面白半分に行うケースが多発し、その中には、一時的あるいはその後ずっと精神に異常を来たしてしまったり、自殺してしまったりといった事が相次ぎ、その時代を知る人々は、絶対にやらないようにと強く警告を発しているケースも多々見られる。

韓国でもこっくりさんは分身娑婆(ブンシンサバ)と呼ばれ、主に子供の世代に浸透している。朝鮮半島のこっくりさんは、日本の統治時代に日本で流行したこっくりさんが、朝鮮に流入し始まったと見られる。

台湾ではこれを「碟仙(ディエシェン)」と呼び、新聞の上に皿を乗せる形で行われる。

コックリさんの起源である「テーブル・ターニング」については、大流行していた1800年代から著名な科学者たちが、その現象の解明に取り組んだ。1853年にはプロイセン(ドイツ)の数学者カール・フリードリヒ・ガウスやイギリスの科学者マイケル・ファラデーが実験的検討を試みた。

霊が原因説 Edit

硬貨が動くのは狐の霊、または低級な“自然霊”の憑依によるものと信じられて来た。また、“死んだ子供の霊”によるものと言う説もある。

途中で手を硬貨から離した者は、あるいはコックリさんに「コックリさん、ありがとうございました。お離れ下さい。」と言ったのに対してコックリさんがその場から動かなかった場合は全員が、取り憑かれてしまうと言われている。なお、使われたコインはいつまでも持っていると不幸になると言われている。3日以内に使う、または塩水で清める。また、基本的に使った紙は燃やしてしまうか、48枚に破り捨てる。なお、一人でコックリさんをやると、人格が豹変したり、自殺を図ったり、人を殺そうとしたりすることがあるという。また、「こっくりさん」をやっている間に、強烈な異臭がしてきた場合は、すぐに換気をしなければならないという。

コックリさんの呪いは額に五つ星を書くと消えるとされている。

潜在意識説 Edit

参加者の潜在意識(予期意向)が反映され、無自覚に指が硬貨を動かすという説。ファラデーや井上円了、フランスの化学者、M・シュブルールなどはこの説をとった。テレビ番組の『特命リサーチ200X』が小学生を対象とした検証を行った際、日本の首都や人気野球選手の背番号といった質問では十円玉が正答を指し示したが、簡単な英語での質問や過去のアメリカ大統領名など、本人達の知識を超えた問い掛けには紙の上を迷走するだけだった。また、被験者の小学生にアイマークレコーダーを装着させ視線の動きを観察したところ、質問を聞いた際、十円玉の動きに先行して回答となる語句の文字を目で追っていた。

ほとんどは自己暗示であるが、悪いことが起きると霊のせいだと思い込んでしまい、人格破壊につながる場合もある。

筋肉疲労説 Edit

現在では、硬貨に指を添える体勢を取り続ける際にどうしても僅かに腕が動いてしまうことも有力な説となっている(同じ姿勢を取り続けると、あっという間に筋肉が疲労するため、不覚筋動(Ideomotor_phenomenon)が起こる)。それらの力が集中しコインが動くと、今度は動いた方向へ力を入れて動かそうとする意識が完全に働くというものである。上記のテレビ番組で解説した理学博士の板倉聖宣は、不覚筋動と潜在意識の混合でコックリさんの動きが起きるとの説を採った。

その他 Edit

参加者の誰かが意識的に動かしている説、など。